MARR Online注目業界動向

2020年7月の注目業界動向

2020年8月4日

 化粧品大手によるEC強化の取り組みが加速している。資生堂は、2012年から国内で自社ECサイト「ワタシプラス」を開始し、現行の中期経営計画でEC事業の売上構成比率を2017年の8%から2020年に15%に高めると発表。花王も2017年からECチャネルの対応を強化しており、EC限定商品の「ブラックプリマ」の販売を開始している。
最近の傾向
  化粧品メーカーにとってECは単なる販売チャネルの拡大にとどまらず、消費者とダイレクトにつながることを狙う。ECなどを活用して消費者に直接リーチする動きは、D2C(Direct to Consumer)と言われる。これまでEC上のデータと店頭の購買情報を紐づけ、マーケティング力の強化を図ってきた資生堂は、2019年7月に肌測定データなどを分析し、その時々に合わせたスキンケアを提供する「オプチューン」を開始し、同年11月には化粧品メーカーの米ドランク・エレファントを約900億円で買収した。同社はインスタグラムでの投稿を積極的に行い、消費者から直接来るメッセージにも迅速に返信し、SNS上で高いコミュニケーション能力を持っており、この買収でD2Cマーケティングのノウハウ取り込みを図る。EC市場は、Amazonや楽天といった大手が独占するかに見えていたが、コロナ禍でEC化が一気に進展するなかで、メーカー各社のECサイトが今後どのような変化を生むか注目される。


出所:株式会社レコフデータ MARR Online[マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2020年9月号)より