MARR Online注目業界動向

2020年6月の注目業界動向

2020年7月2日

コロナ禍の資金調達手段としても注目のクラウドファンディング

コロナ禍で中小事業者やベンチャー企業の資金調達手段としてクラウドファンディング(CF)が注目されている。矢野経済研究所(注1)によると、2018年度のCF市場は2000億円を超えた模様で、4年間で10倍に拡大した。CFには、支援の対価を求めない「寄付型」や支援の見返りが商品やサービスとなる「購入型」、支援金に対し利子が払われる「融資型」、株式発行を通じた資金調達の「株式型」などがある。


最近の傾向


急成長するCF業界でのM&Aは、従来、ベンチャーキャピタルなどによる資本参加が中心だったが、最近では、CF事業をサービスメニューとして取り込みたい事業会社による事業譲り受けや買収案件が増加している。なかでも「株式型」の取得が目立つ。

2019年9月には、株式型CF運営のユニバーサルバンク(東京)が、エメラダ(同)から事業を譲り受け、新株予約権も取り扱いに加えたほか、同年11月には、CF大手のCAMPFIRE(同)が、株式型CF運営のDANベンチャーキャピタル(同)の買収を発表。これにより株式・融資・購入・寄付の4類型のサービスが提供可能となった。また、今年2月には経済・金融情報の総合プラットフォームサイト「ZUU online」を運営し、融資型CFを手掛けるZUUが、ユニコーン(同)を子会社化し、株式型CF事業に参入した。

CF業界は参入企業増加の陰で、投資家保護の課題もあるなど発展途上の業界だ。今後、サービス拡充、知名度・信頼性補完のための買収・売却案件が増えそうだ。

(注1)出所:(株)矢野経済研究所「国内クラウドファンディング市場の調査(2018年)」2018年12月3日発表


出所:株式会社レコフデータ MARR Online[マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2020年8月号)より