MARR Online注目業界動向

2020年8月の注目業界動向

2020年9月2日
 
 昨今の建設業界では、人手不足や就業者の高齢化により、生産性が上向いていない。この課題を、ITを駆使して解決すべく、2010年代からContech(建設テック)と呼ばれるベンチャー企業が出現。Contechのカテゴリには、仕事と職人をつなぐ「マッチング」、建設プロセスの見える化を行う「プロジェクトマネジメント」、原価計算や見積書作成を行う「コストマネジメント」などがあり、マッチングアプリ運営の助太刀(東京)やクラウド型建設プロジェクト管理サービス運営のオクト(同)など、各分野で台頭したContechベンチャーは活発に資金調達を行っている。
最近の傾向
  一方で、大手企業自身もContechに注力する動きがある。大林組は工事写真に写った建材の種類や量をAIで推定し、進捗を自動認識する「工程認識AI」に取り組む。Contech関連のM&Aでは、LIXIL(東京)と建設資材通販のMonotaROが、2011年に共同出資でK-engine(同)を設立、建設資材の企画・仕入・販売から事業を転換すべく、2013年にLIXILの完全子会社化となった。現在は住宅産業向けに、CADデータや独自の建材データベースから原価積算、見積作成ができるクラウドサービスを提供しており、2014年に産業革新機構、2015年にはリクルートHDが出資した。また、三菱商事は建設業向けクラウド事業を2015年4月に分社化し、労務・安全衛生管理書類をクラウド上で作成、確認、提出できるプラットフォームを展開するMCデータプラス(同)を設立。同年5月にはインテック(富山市)、シグマクシス(東京)が出資し、3社共同事業体制を構築している。
 
 ウィズコロナ時代、Contech企業の動向に注目したい。


出所:株式会社レコフデータ MARR Online[マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2020年10月号)より