MARR Online注目業界動向

2021年2月の注目業界動向

2021年3月2日

 三菱重工業は2020年10月、新型コロナ影響、火力事業の環境変化、民間航空機分野の戦略見直しなどを背景に、2021事業計画(FY2021~2023)を半年前倒しで策定した。「エナジートランジション(低環境負荷エネルギーへの変換)」と「モビリティ等の新領域」を成長エンジンと位置づけ、事業ポートフォリオを入れ替えつつ、期間中1800億円を投じ、2030年度の1兆円規模への拡大を目指している。

最近の傾向
 実際、2020年10月以降、ノルウェーの水電解装置会社のハイドロジェンプロに出資し、グリーン水素製造・供給分野に進出。また、プラズマ熱分解技術を持つベンチャーの米モノリスやメタン熱分解で先進技術を持つベンチャーの米C-ZEROに出資するなど、水素バリューチェーンの強化・多様化等に向けた海外M&Aを立て続けに発表しているが、今のところいずれもマイノリティ出資だ。
 事業売却では、先述の通り、工作機械メーカーの三菱重工工作機械とグループの海外工作機械事業の日本電産への売却を決めた。
 日本の製造業の代表として比較される日立製作所はこの10年間で1000億円以上の買収案件を4件、上場子会社を含め、グループ事業の売却(カーブアウト系)を30件以上実行し、ものづくりから社会インフラサービスへ事業の主軸を変えた。三菱重工がいつ大胆なM&Aに打って出るか、注目したい。


出所:株式会社レコフデータ MARR Online[マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2021年4月号)より