2021年10月の注目業界動向
凸版印刷が2021年5月に発表した中期経営計画(2021-2022年度)によると、同社がベンチャー投資により保有する銘柄は2017年度末の20銘柄から2020年度末には45銘柄に増加した。ベンチャー企業への共創投資の展開等を通じて、従来の受注型産業から脱却し、社会的課題解決ソリューションを提供するDX事業のリーディングカンパニーとなるべく、企業変革を加速させている。
今でこそ、大企業とスタートアップの連携の動きが活発だが、凸版印刷のベンチャー投資の始まりは20年前に遡る。2001年に米ベンチャーのイー・インクに500万ドルを出資し、携帯型次世代ディスプレー、電子ペーパーの開発に参入した。出版市場の縮小、電子書籍の普及、出版流通制度の変化など、激変する経営環境を背景に、CVCを介さず、その後も一貫してBS(直接)投資を行っている。
2016年には経営企画本部の中に戦略投資推進室を立ち上げ、ベンチャー投資だけでなく、M&Aも同部署で行っている。中期経営計画では「新事業の創出」を重点施策の1つに掲げ、2025年度の営業利益10%以上に貢献することを目指している。
他方、TFT液晶、紙器、既存印刷は構造改革事業として見極めを行う方針で、企業変革は確実に進んでいる。
出所:株式会社レコフデータ MARR Online[マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2021年12月号)より