2022年3月の注目業界動向

前田建設工業は、子会社の前田道路、前田製作所と経営統合し、2021年10月1日付で共同持株会社「インフロニア・ホールディングス」を発足させた。同社は同日、3社がグループ全体として永続的成長を遂げることを目的に、中長期的に目指す姿を「総合インフラサービス企業」と定め策定した、共同持株会社の経営戦略骨子である「中長期経営ビジョン」を開示した。2023 年度から国際会計基準（IFRS）へ移行するとともに、グループシナジーの追求、M&Aの推進等を図り、2030年度に営業利益1000億円以上、純利益700億円以上、ROE12%以上を目指す。

前田建設工業は2020年1月、24.68％を出資する前田道路に対し子会社化を目的に敵対的TOBを実施し、比率を51%に高めた。同年5月には前田建設工業出身の今泉保彦氏の社長就任を発表し、早々にグループ一体化への布石を打っている。

インフロニアHDは2022年3月、傘下の前田建設工業が資本提携する東洋建設の買収を発表した。同社は洋上風車の施工や港湾土木に強みをもつ。インフロニアHDの岐部一誠社長は、「脱炭素やインフラ運営などの市場拡大が確実に見込まれるようになった」と指摘する。経営環境の変化を追い風に事業強化に取り組むインフロニアHDの今後が注目される。