MARR Online注目業界動向

2022年4月の注目業界動向

2022年5月2日

放送業界、環境変化と規制緩和が再編を後押し

民放が共同で展開するTVer(ティーバー)で、プライムタイム(午後7~11時)のテレビ番組を中心にネット同時配信サービスが4月11日から開始された。地上波の民放テレビ放送局では、在京キー局5局の系列として日本全国に100局超のローカル局が存在する。ローカル局は、キー局から提供される番組を放送することで、キー局から分配を受ける広告料金が収入の柱だ。しかし、キー局から全国の視聴者へ直接番組を放送するネット配信サービスでは、ローカル局が担う役割はない。

この動きがすぐに経営を脅かす訳ではないだろうが、放送地域の人口の減少や広告費のネットシフトが進むなか、広告収入依存の構造から脱却を図るのは容易ではなく、将来的なローカル局の在り方が問われている。

最近の傾向
そんな中、3月末に総務省が制度等についての論点整理をまとめ、規制緩和の方向性が示された。
具体的には、①認定放送持株会社について、3分の1超出資可能な系列局数の上限(12局)の撤廃、②一部の広域圏を除いて県単位が原則である「県域制限」が廃止され、ローカル局が複数の県域で同一放送を可能とするなどで、夏頃に最終案がまとまる。
2016年にフジ・メディア・ホールディングスが仙台放送を子会社化した例はあるが、現状、認定放送持株会社のローカル局への出資比率はほとんどが3分の1以下だ。規制見直しが、再編を後押しする。


出所:株式会社レコフデータ MARR Online
     [マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2022年6月号)より