MARR Online注目業界動向

2022年5月の注目業界動向

2022年6月2日

100年企業のNISSHA、
M&Aで事業ポートフォリオ戦略強化を推進

東証プライム上場のNISSHAは、産業資材、デバイス、メディカルテクノロジーの3事業を中心に、情報コミュニケーションや医薬品・化粧品など、さまざまな事業をグローバルに展開する。グループ企業数は65社(うち海外35カ所)にのぼる。2017年に「日本写真印刷」から社名変更した。

最近の傾向

NISSHAは高級美術印刷を志向し、1929年に創業された100年企業だ。戦後(1946年)、京都の活版印刷業者を吸収合併し、「日本写真印刷」を設立。時代を代表する美術全集や図録などを数多く手がけ、1979年に東京・大阪証券取引所市場第1部に上場。印刷技術の進化による新製品開発を促進し、転写箔や電子部品などの新製品で対象市場をグローバルに拡大するとともに、事業を多角化していった。足元では、事業ポートフォリオ戦略強化に向け、新たな事業領域の開拓にM&Aを活用する動きが本格化している。2015年にはベルギーの蒸着紙世界最大手、ARメタライジングを162億円で買収し、印刷の近隣領域で蒸着紙を製品ポートフォリオに組み込んだ。さらに2016年には医療機器メーカーの米グラフィックコントローズホールディングスを149億円で買収し、医療機器市場へ参入した。その他、医療ベンチャーへの投資も活発だ。創業者の志した「誰もやらないことをやる」という差別化戦略を実践するNISSHAの今後の動きが注目される。


出所:株式会社レコフデータ MARR Online
     [マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2022年7月号)より