MARR Online注目業界動向

2021年12月の注目業界動向

2022年1月5日

実用化近づく「空飛ぶクルマ」、国内スタートアップは資金調達力で世界と格差

 

次世代移動手段として注目される「空飛ぶクルマ」は、ドローンを大きくしたような「イーブイトール(eVTOL)」と呼ばれる垂直離着陸機が主流になるとみられており、事業化には数百億円の投資が必要ともいわれる。

 

最近の傾向

 

日本でeVTOLを開発するスタートアップとしては、SkyDriveが先行している。同社は2025年大阪・関西万博での実用化を目指しており、2020年8月にはNEC、伊藤忠商事など10社から39億円の資金調達を実施した。
また、東京大学発ベンチャーで1人乗り用開発のテトラ・アビエーションも、同月に精密金属部品製造の吉増製作所(東京都あきる野市)から5000万円を調達した。

 

ただ、世界に目を向けると資金調達力の差は歴然だ。2023年末までに米連邦政府の承認を受け、空飛ぶタクシーの展開を目指す米Joby Aviation は、2020年1月に約648億円を調達、2021年8月にはニューヨーク証券取引所へ上場、時価総額は4000億円を超える。同年に上場した米Archer Aviationや独Lilium GmbHも時価総額は2000億円前後に達する。
また、世界で初めて欧州航空安全庁の認証を取得した独Volocopterが2021年3月に約258億円の調達を発表している。
米欧中の自動車や航空機の大手メーカーのほか、2021年9月にはホンダも開発を表明しており、今後は資金力が勝敗を占う大きな要素となりそうだ。

出所:株式会社レコフデータ MARR Online
     [マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2022年2月号)より