注目業界動向

2021年7月の注目業界動向

2021年8月3日

アシックス、デジタル戦略の加速にM&A  独自のランニングエコシステム構築へ

東京五輪のゴールドパートナーとして、日本選手団や関係者のオフィシャルウェアを提供するアシックス。「OneASICS」を掲げ、デジタルを軸にした経営への転換に注力している。2021年2月に発表した中期経営計画2023において「デジタルサービスと連携したランニングエコシステムを通して、一生涯、心も身体も満たされるランニング体験」を提供するとしている。



最近の傾向


近年のアシックスのM&Aにその意図が表れている。2016年にはフィットネス・トラッキング・アプリ「Runkeeper」を運営する米フィットネスキーパーを買収し、米国を中心に全世界で3300万人の会員とデータを獲得。2019年にはカナダのレース登録プラットフォーム第3位の「Race Roster」運営のファストノースコーポレーションから事業を譲り受け、消費者とのタッチポイントとブランド露出拡大を図っている。

プロダクトの技術面では、2016年11月に設立したCVCのアシックス・ベンチャーズ(神戸市)が、ベンチャーとの連携を進めている。2019年にはAI技術で対象者の動きを計測、分析できるソフトウェアを開発するカナダのCurv Labs Inc.に出資。2020年にはスマートフットウェア「ORPHE TRACK」開発のno new folk studio(東京)に出資し、足運びの変化をリアルタイムでフィードバックする「スマートランニングシューズ」の開発に取り組んでいる。


アシックスは、フィットネスアプリを軸に集客、シューズを販売し、ランナーのデータに基づくコーチングでパフォーマンスを上げ、レースへ参加、といった独自のランニングエコシステムを構築しつつある。スポーツビジネスの新しい形を描く同社の今後に注目したい。

(長谷川 雄紀)


出所:MARR online[マーケットを読む ~今月のM&A状況~]  (2021年9月号)より