MARR Online注目業界動向

2022年9月の注目業界動向

2022年10月3日

地銀による事業承継ファンド設立相次ぐ。サーチファンドによる経営人材供給も
地方銀行が相次ぎ事業承継ファンドの設立に動いている。発端は2019年10月の銀行法施行規則等の一部改正だ。銀行は、事業会社株式の5%を超えて取得・保有することを原則禁止されているが、子会社の範囲規制の緩和により、例外として事業承継目的での保有が認められた。百五銀行が2020年1月に「AIDMA1号ファンド」を組成したのを皮切りに、2021年には常陽銀行、京都銀行、足利銀行など10行以上、今年に入っても、北海道銀行や七十七銀行、山形銀行などファンド設立が続く。

動向

事業承継ニーズに応えるには、資金提供にとどまらず、経営人材派遣などのハンズオン支援がカギとなる。このため、経営者を志す人材(サーチャー)と企業を結び付ける「サーチファンド」の設立・出資の動きも出ている。
2019年に山口ファイナンシャルグループ(YMFG)が日本で初めてサーチファンド事業に取り組み、2020年2月にはファンドの出資を受けたサーチャーが、土木工事業の塩見組(北九州市)の全株式を取得し、第1号案件となった。その後も産業用機械等の設計・製造・組立のキャスリンク(広島市)など4社の事業承継を実現した。さらに今年2月にはYMFG傘下以外の地銀も協働して「地域未来共創サーチファンド」を設立、事業対象地域を全国に拡大している。これらの取り組みが、地域経済とその担い手である企業の発展につながるか注目される。


出所:株式会社レコフデータ MARR Online
     [マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2022年11月号)より