注目業界動向

2021年5月の注目業界動向

2021年6月2日

損保業界、自然災害などのリスク増加に対し、ITベンチャーと連携の動き

近年、自然災害の頻発化・激甚化によって、損保会社の主力である火災保険の収支は悪化している。このためITを活用した防災・減災に向け、損保大手とITベンチャーの協業の動きが出始めている。


最近の傾向

SOMPOホールディングスによる防災予測ベンチャーの米ワン・コンサーン(カリフォルニア州)への資本参加と戦略的パートナーシップ締結が2020年9月に公表された。両社は、AIを活用した防災・減災システムの開発・実現プロジェクトを2019年に熊本市で開始しており、他地域での展開を目指す。

また、三井住友海上火災保険(東京)は、保険とITが融合した「インシュアテック」ベンチャーの米ヒッポ(カリフォルニア州)への資本参加を2020年11月に公表した。ヒッポはIoT機器やAIによる分析を使い、災害や損害につながる事象を事前に察知、保険契約者に警告することで、被害を防ぎ、保険金発生を抑える仕組みを提供している。両社は、自然災害リスクの細分化や適切な料金設定、先進的な防災・減災サービスなど、データとテクノロジーを活用した新たなビジネスモデルを検討する。

ITとの融合によるリスク低減は、自然災害に限らない。サイバー攻撃の分野では、保険とセキュリティー対策を組み合わせたサービスもある。今後は、リスクを精緻に分析し保険料を最適化した保険商品が広まることから、IT活用に向けたM&Aの動きにも注目だ。


(編集委員 田城謙一)


出所:MARR online[マーケットを読む ~今月のM&A状況~]  (2021年7月号)より