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2022年12月のM&A状況

2023年1月5日

武田薬品、米創薬ベンチャーを買収
12月のM&A市場では、IN-OUTで、武田薬品工業が、医薬品研究開発ベンチャーの米ニンバス・セラピューティクスの知的財産権所有子会社を買収する。
IN-INでは、日本製鉄が、持ち分法適用会社の日鉄物産をTOBにより買収する。
OUT-INでは、大和ハウス工業が、リゾート施設運営管理子会社の大和リゾートを、シンガポールを拠点とする不動産投資運用会社の傘下企業へ譲渡する。


12月は352件


12月の件数は352件で、前年同月比53件、13.1%の減少となった。マーケット別ではIN-INが267件で前年同月比18.1%減、IN-OUTは56件、同3.7%増、OUT-IN は29件で同16.0%増だった(表1参照)。金額は1兆2546億円、前年同月比60.0%増加した。
金額トップは、武田薬品工業による米ニンバス・セラピューティクスの知的財産権所有子会社の買収で約5467億2000万円(表2参照)。

2022年1-12月の累計件数は4304件、0.6%増加した。2021年の4280件を上回り、最多を更新した。金額は11兆4356億円と前年を31.6%下回った。

IN-INでは、日本製鉄が、持ち分法適用会社の日鉄物産をTOBにより買収する。出資比率34.54%から完全子会社化を目指す。買付金額は約1365億9100万円。鉄鋼製造から流通・加工一貫での最適化・効率化や付加価値の創造などにより、サプライチェーン全体での競争力を強化する。

ノジマは、伊藤忠商事の子会社のコネクシオを買収する。全額出資で設立したNCX(横浜市)を通じてTOBを実施し、完全子会社化する。買付金額は買付手数料などを含め約855億8500万円。両社のノウハウ、店舗網を掛け合わせ、厳しさを増す携帯電話販売代理店業界で成長を実現する。


※IN-IN(イン・イン):日本企業同士のM&Aをいう。

※IN-OUT(イン・アウト):日本企業による外国企業へのM&Aをいう。 一般的には、アウトバウンドM&Aともいう。

※OUT-IN(アウト・イン):外国企業による日本企業へのM&Aをいう。一般的には、インバウンドM&Aともいう。

※当事者とは・・・
合併では存続会社を当事者1とし、相手側を当事者2とする。新設合併や株式移転による完全親会社設立では、会計処理で取得企業になる側を当事者1とする。
買収、資本参加、出資拡大では株式の取得側を当事者1とする。対象企業を当事者2とする。
事業譲渡では、資産などの取得者を当事者1とし、相手側を当事者2とする。既存事業の統合では、事業規模の上位の企業を当事者1とする。


出所:株式会社レコフデータ MARR Online
   [マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2023年2月号)より