MARR Online注目業界動向

2023年7月の注目業界動向

2023年8月2日

自動車部品メーカー、
構造的な需要変化で再編待ったなし
コネクティッド(C)、自動化(A)、シェアリング(S)、電動化(E)のいわゆるCASE領域で技術革新が進展するなかで、自動車部品の需要が大きく変わろうとしている。特に、電動化はエンジン関連需要の減少、反対にモーター関連需要の増加をもたらす。一方で足回りの部品需要は継続するなど、部品によってもその影響度合いは異なり、自動車部品メーカー各社は生き残りをかけた再編に迫られている。

動向
 
世界第2位の自動車部品メーカーであるデンソーは、電流を制御するインバーターや熱マネジメント製品等のCASE領域の売上を2021年の4兆円から2035年までに7兆円へ増やし、パワートレイン等の内燃系の売上は1.8兆円をほぼ半減する事業変革を進める。これに伴い、フューエルポンプモジュール事業を三愛工業へ売却し、点火プラグ等2事業も日本特殊陶業への売却協議を開始した。成長分野へシフトしつつ、内燃系は他社事業と集約化し、競争力を高める戦略だ。

独立系でピストンリング国内大手のリケンと日本ピストンリング(NPR)は、共同持株会社「リケンNPR」を設立し、10月に経営統合する。統合により既存の内燃系事業で海外のシェア拡大と収益力を高めつつ、次なるコア事業や新製品の創出に向け経営リソースをシフトする方針。内燃系は、需要減少でも供給責任を果たさなければならず、難しい舵取りが求められる。





出所:MARR Online (マールオンライン) [マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2023年9月号) より