MARR Online注目業界動向

2020年4月の注目業界動向

2020年5月1日

慢性的な人材不足などで事業運営改善、選択と集中を進める給食業界


学校や病院、高齢者施設、保育所、企業などで提供される給食業界は、日清医療食品、エームサービス、シダックス、西洋フード・コンパスグループなど、大手・準大手企業20社の合計シェアが約2割に留まり、寡占化が進んでいない。

近年は、慢性的な人材不足などを背景に、シダックスがユニゾン・キャピタル(同)からの出資を受け入れ、業務効率化など事業運営体制の改善を図っているほか、西洋フード・コンパスグループがクリエイト・レストランツ・ホールディングスにテーマパーク・商業施設内のレストラン運営事業などを、ロイヤルホールディングスに海ほたるパーキングエリア事業などを売却し、経営資源をヘルスケア事業、ビジネス&インダストリー事業に集中する戦略を進めている。

最近の傾向


一方で、異業種からの参入も目立ってきた。学習塾経営の京進は、2017年に高齢者施設運営のシンセリティグループ(大阪市)を買収し、同施設向け給食事業をグループ化。2019年4月には企業向け弁当・給食仕出しのリッチ(同)を買収した。

矢野経済研究所の2018年度給食市場調査では、事業所対面給食、在宅配食サービス、高齢者施設給食、学校給食などが増加するとし、2022年度の市場規模は末端売上高ベースで5兆375億円(2017年度比6.7%増)と予想したが、現下の新型コロナショックが社会生活の在り方を大きく変える可能性もあり、今後の動向に注目したい。


出所:株式会社レコフデータ MARR Online[マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2020年6月号)より