MARR Online注目業界動向

2020年3月の注目業界動向

2020年4月7日

宇宙ビジネス分野でのM&A相次ぐ、一方で新型コロナ禍の影響も

ロケットや衛星のコスト低下を背景に宇宙ビジネスの拡大が期待されており、大手投資銀行の試算では、市場規模は2016年の37兆円から2040年には120兆円に達する見込みだ。

宇宙ビジネスはロケットによる輸送、衛星・地上側設備のインフラ、衛星による通信や観測データの利用、さらには宇宙旅行や資源探査に至るまで幅広い分野に及ぶ。


最近の傾向


ロケット関連では、2019年11月に丸紅が、小型ロケット開発ベンチャーのインターステラテクノロジズ(北海道大樹町)に資本参加した。同社は、国内民間企業が単独で開発・製造したロケットとして初の宇宙空間到達に成功している。

また、今年2月には三井物産とパチスロ製造の山佐(岡山県新見市)が共同で、衛星事業者向け打上サービス提供の米Spaceflight, Inc.(ワシントン州)の買収を発表。さらに3月には、楽天が衛星通信ネットワーク構築ベンチャーの米AST&サイエンス(テキサス州)に資本参加した。

構築する低軌道人工衛星からの通信ネットワークは、市販のスマートフォンを用いて直接接続できる世界初のサービスとなる見込みである。

一方で、ソフトバンクグループ(SBG)が出資する衛星通信ベンチャーの英ワンウェブが、3月に米連邦破産法11条の適用を申請した。一部報道では新型コロナ禍による市場動乱でSBGと資金調達条件で折り合えなかった模様である。新型コロナの感染拡大の影響が影を落とし始めている。


出所:株式会社レコフデータ MARR Online[マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2020年5月号)より