MARR Online注目業界動向

2022年7月の注目業界動向

2022年8月2日

低迷する海外M&A(IN-OUT)、
リーマンショック後と同様の回復力を示せるか
日本企業による海外M&A(IN-OUT)の低迷が続いている。件数ベースでは、2019年に826件とこれまでの最多を記録したが、2020年以降はコロナ禍による海外渡航制限等の影響もあり、同年557件、2021年は625件でコロナ前の7割程度にとどまった。今上半期(2022年1-6月)は298件、前年同期比7.7%減となっている。金額ベースでも前年同期比51.6%減の2兆103億円と半減した。昨年は日立製作所による米グローバルロジックの1兆円買収といった大型案件があったが、今上半期は5000億円超の案件は見られない。昨年からの原材料・資源高に加え、ウクライナ危機、急激な円安進行、世界経済の減速懸念の高まりなど、海外M&Aにとってマイナス要素が重なっている。

動向

振り返って、リーマンショックを契機に世界的金融危機により海外M&Aが低迷した2009年をみると、件数ベースでは前年比20.7%減の299件、金額ベースは60.6%減の2兆9532億円と、今上半期を上回る減少率であったが、翌2010年には件数で24.1%、金額で30.4%の増加に転じ、その後の東日本大震災を経て、10年連続で拡大した。

多くの日本企業が少子高齢化による国内市場の縮小を背景に、グローバル経営に舵を切っている。リーマンショック後と同様の勢いを取り戻し、IN-OUT件数、金額ともに回復力を示せるか、今後を注視したい。


出所:株式会社レコフデータ MARR Online
     [マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2022年9月号)より