2023年3月の注目業界動向

2009年に明治製菓と明治乳業の経営統合によって発足した明治ホールディングスは、その後のグループ再編により、食品事業（株式会社明治）と医薬品事業（Meiji Seika ファルマ株式会社）を傘下に置く体制を構築した。医薬品事業には、2018年7月に明治HDグループが49%、熊本県企業グループが49%、熊本県が2%出資するKMバイオロジクス（熊本市）が加わり現在に至る。

売上高の構成は食品事業約8割、医薬品事業約2割。医薬品事業はインフルエンザワクチンなどで国内シェアNo.1を誇り、感染症の予防から治療までを行うビジネスモデルを構築している。


さらに、明治HDは2019年、研究開発での食と薬のシナジー創出を目指し、「価値共創センター」を設置した。外部研究機関とのオープンイノベーションの基盤としての役割を担う。現在は「マイクロバイオーム」「抗老化」「免疫増強」の3つの新領域に関する研究を進めている。

スタートアップとの連携も活発だ。ウェアラブル摂食嚥下のモニタリングサービスを展開するPLIMES（茨城県つくば市）と資本業務提携し、接触・嚥下の領域で価値創造を目指している。また、ニオイを可視化する技術を持つアロマビット（東京）に出資し、酪農や製造の現場での新たな評価・管理手法の確立など、ニオイの可視化・分析技術を活用した課題解決と価値創出に取り組んでいる。

食品と医薬品の素材・知識・ノウハウを持ち寄り、どのような新たなビジネスにつなげるのか、注目だ。






出所：株式会社レコフデータ MARR Online[マーケットを読む ～今月のM&A状況～] (2023年5月号)より