MARR Online注目業界動向

2020年5月の注目業界動向

2020年6月2日

教育に変革をもたらす「EdTech」、語学教育の分野でM&Aが増加

EdTechとは、EducationとTechnologyを組み合わせた造語で、テクノロジーを活用して教育に変革をもたらすサービスや技法、それを構成する技術を指す。

例えば、オンライン講義により時間と距離の壁がなくなったり、AIの活用により各自に最適化されたカリキュラムの提供が可能になるなど、学ぶ側だけでなく教える側にもメリットがある。ただ、学校教育ではICT環境の不足によりメリットを享受できていないのが現状だ。


最近の傾向


一方で、M&Aの視点から見ると、近年、民間の語学教育の分野で、EdTech関連の案件が散見されるようになってきた。2017年には、KDDIが語学学校運営のイーオンホールディングス(岡山市)を買収。AIを活用した学習者向けのカリキュラム最適化支援や、VRを活用したバーチャル英会話プログラムなどのサービスを検討する。

2018年には、フリービットが、語学教育のアルク(東京)を買収してEdTech事業に参入したのち、2019年にはアルクを通じて、英語学習アプリ「OKpanda英会話」運営の米オーケーパンダから事業譲り受けを行い、EdTech事業を強化した。

学習塾「Z会」運営の増進会ホールディングス(静岡県三島市)は、2017年にオンライン学習塾「アオイゼミ」運営の葵(同)を買収し、教育機関や学習塾向けのオンライン学習管理システムの提供を今年5月に開始したほか、2019年には東証マザーズ上場のEduLabに資本参加し、英語学習でのスピーキング能力の測定や自動採点技術の共同研究を開始した。

EdTechを活用したサービス競争はさらに活発化しそうだ。今後の動向に注目したい。


出所:株式会社レコフデータ MARR Online[マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2020年7月号)より