MARR Online注目業界動向

2020年10月の注目業界動向

2020年11月4日

政府は、新型コロナウイルス感染の広がりを受けて4月から特例措置として認めている初診からのオンライン診療を巡り、恒久化に向けて制度設計を本格化させる方針。日本のオンライン診療は、1997年に離島やへき地に限定した「遠隔医療」として始まった。2015年に「厚生労働省医政局長事務連絡」として全国で遠隔診療を実施できることが確認され、その後、ベンチャー企業によるオンライン診療の周辺サービスへの参入が目立ち始めた。


最近の傾向
 メドレーは、16年2月にオンライン上で予約から診察、会計までを行えるサービスを開始し、19年12月に東証マザーズ上場を果たした。足元では、大手企業の参入の動きも目立ってきた。LINE(東京)は、エムスリーと共同で「LINEヘルスケア」(同)を設立し、クリニックの検索・予約から診察・決済まで全てを無料通話・メールアプリ「LINE」上で完結できる「LINEドクター」を11月に開始し、オンライン診療システム分野に参入する。また、中部電力は、検査データなどの医療・健康情報を一元管理できるアプリを展開するベンチャーのメディカルデータカード(同)を子会社化した。患者と医師を双方向で結ぶプラットフォームの構築など新サービスの開発を目指す方針。

 さらに、リコーリースは、7月にオンライン診療システム開発・提供のインテグリティ・ヘルスケア(同)に出資した。同社のシステムは医療機関が通常の対面診療とオンラインを組み合わせることで、きめ細かな診療を継続的に行える環境を実現している。今後、オンラインとリアルを組み合わせ、高齢者向けを含むサービスの開発、拡大に向けたM&Aが増加しそうだ。


出所:株式会社レコフデータ MARR Online[マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2020年12月号)より