MARR Online注目業界動向

2023年6月の注目業界動向

2023年7月3日

日本郵政、
成長実現に向けた今後のM&A戦略に注目
郵政民営化で日本郵政が2007年に発足して15年余り。事業環境が大きく変化するなかで、同社の成長戦略が節目を迎えている。

動向
 
日本郵政は2021年5月、2021年度から5年間を対象とした中期経営計画「JPビジョン2025」を策定。日本郵政グループの新たな成長に向けて、IT投資に4300億円、不動産投資に5000億円、M&Aを含む新規ビジネス等への投資に5500億円~1兆円を振り向ける方針を打ち出した。また、傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険(東京)の金融2社については、経営の自由度向上のため、早期に保有割合を50%以下とする方針を示した。将来的に、金融2社株式を完全処分し、郵便ネットワークにおいてはグループ外企業との連携を強め、顧客と地域を支える「共創プラットフォーム」となることを目指している。実際に、2021年にかんぽ生命株式、2023年からゆうちょ銀行株式の売却を進め、1兆円規模の売却資金を得ている。

グループ外企業との本格的な連携の動きも目立ってきた。同年6月にはヤマトホールディングスと持続可能な物流サービスの推進に向けて基本合意した。メール便領域などで協業する。2021年3月に資本業務提携した楽天グループとは合弁会社「JP楽天ロジスティクス」(同)を設立し、物流拠点や配送システム、受取サービスの共同構築に取り組んでいる。2024年には中計の見直しを行う予定であり、成長実現に向けた今後のM&A戦略が注目される。





出所:株式会社レコフデータ MARR Online[マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2023年8月号)より