MARR Online注目業界動向

2021年8月の注目業界動向

2021年9月2日

カーボンニュートラルで期待高まるCCUS、M&A領域の長期テーマとしても注目

カーボンニュートラルの実現に向け、CO2の排出を削減するだけでなく、CO2を回収し、貯留や転換利用するCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)への期待が高まっている。国際エネルギー機関は、2050年までに世界の累積削減のうち、CCUSが10%以上貢献すると推計する。



最近の傾向


CCUSのバリューチェーンは、CO2の回収・輸送・貯留・転換利用といった流れになるが、日本では総合商社等によるM&Aの動きも出始めている。「回収」では、2020年2月に丸紅が、CO2回収溶剤製造、販売などの英カーボン・クリーン・ソリューションズに出資し、事業参入した。


「輸送」では、2021年3月に商船三井が、ノルウェーの液化CO2船など船舶管理業のラルビック・シッピングに資本参加し、液化CO2海上輸送事業への参画を発表。さらに「貯留」では、同月、三井物産が、CO2回収・貯留事業の英Storegga Geotechnologies Limited(SG)への出資を発表した。SGは、有望なCO2貯留層として、生産が減退した油田やガス田を活用、既存インフラの転用でコスト競争力を実現する。

「転換利用」でも、CO2からメタンなどの燃料や化学品へ転換する様々な技術開発が進む。普及にはコストの低減が必要だが、CCUSは世界レベルの長期的なトレンドだ。日本も特許等で一定の存在感を示しており、今後の商用化に伴うM&Aの拡大にも注目だ。


出所:株式会社レコフデータ MARR Online[マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2021年10月号)より