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2023年6月のM&A状況

2023年7月3日

官民ファンド、JSRを9000億円で買収
6月のM&A市場では、IN-INで、官民ファンドの産業革新投資機構(JIC、東京)が、JSRをTOBにより買収する。金額は約9039億円。IN-OUTでは、KDDIが、不動産投資信託のアライド・プロパティーズ・リートからデータセンター事業を1446億円で譲り受ける。OUT-INでは、ブリヂストンが中国のトラック・バス用ラジアルタイヤ製造子会社を同国・恵州の不動産開発会社に売却する。



6月は303件

6月の件数は303件で、前年同月比32件、9.6%減少した。マーケット別はIN-INが225件で前年同月比13.5%減、IN-OUTは52件、同1.9%減、OUT-INは26件、同18.2%増だった。(表1参照)。金額は1兆9353億円、前年同月比3.5倍。金額トップは、官民ファンドの産業革新投資機構(JIC、東京)によるJSRの買収で約9039億円(表2参照)。1-6月の件数合計は1933件で、前年同期比12.5%の減少となった。金額は7兆9951億円で、19.3%増加している。

IN-INでは、産業革新投資機構(JIC、東京)が、全額出資子会社のJICキャピタル(JICC、同)を通じて、JSRを買収する。12月下旬をめどにTOBを開始する見込み。買付金額は最大約9039億1700万円。JSRは半導体素材であるフォトレジスト(感光材)で世界首位。半導体製造での次世代技術開発競争が激化するなか、JICCからの支援を通じて、国内に有望なメーカーが多数存在する半導体材料業界で大胆に業界再編を志向する。国際競争力を高める。



※IN-IN(イン・イン):日本企業同士のM&Aをいう。

※IN-OUT(イン・アウト):日本企業による外国企業へのM&Aをいう。 一般的には、アウトバウンドM&Aともいう。

※OUT-IN(アウト・イン):外国企業による日本企業へのM&Aをいう。一般的には、インバウンドM&Aともいう。

※当事者とは・・・
合併では存続会社を当事者1とし、相手側を当事者2とする。新設合併や株式移転による完全親会社設立では、会計処理で取得企業になる側を当事者1とする。
買収、資本参加、出資拡大では株式の取得側を当事者1とする。対象企業を当事者2とする。
事業譲渡では、資産などの取得者を当事者1とし、相手側を当事者2とする。既存事業の統合では、事業規模の上位の企業を当事者1とする。


出所:株式会社レコフデータ MARR Online[マーケットを読む ~今月のM&A状況~] (2023年8月号)より